
雲が切れて、日が射しこむと滝の下部はうっすらと虹色に染まってきた。虹を見ると思い出す物語がある。
森の中に棲んでいる動物達が雨上がりの空を見ると、これまで見たこともない大きな虹の橋が架かっていた。「あの虹に上ってみよう」と動物達は虹を目指す。野を越え、山を越え、歩いても歩いてもなかなか虹は近づいてくれない。それでも虹の橋に上りたくて、動物達は歩き続ける。とうとう海岸までたどり着いてしまった彼らが見たのは、水平線の上にかかる虹だった。虹の下をゆっくり外国船が進んでいて、彼らはそこで虹を追いかけるのを諦める。
雨上がり、ふと見上げた空に虹が架かっていると、人は思わず立ち止まる。疲れきった日常生活の中で若かりし頃の自分をついつい振り返ってしまうのもそんな時。当時描いた人生とはずいぶん違う道を歩いている自分に気が付いてしまう。
虹を見て、今日までの生活をすべて捨て去り、かつて見た夢を追う人は稀だろうが、何かもう一つ大きな力で背中を押されると、それがきっかけで新たな人生物語が始まってしまうのでは…と妙な予感がしている昨今の私です。
生出道憲 oide michinori
1961年12月28日宮城県生まれ。福島県会津地方及び中通りなどを中心に活動をするちょっと謎めいた自然・風景写真記録人。




























