普段はさもない風景が、降り積もった雪のおかげで、息を呑むほど美しい風景へ一変することがある。
「雪化粧」というくらいだから、雪も市販の化粧品に負けず劣らず、美しくさせる効力をもっているのだろう。ただしその効力は、自然の風景にだけであって、人間にはまったく効き目がないのは言うまでもない。降りしきる雪の中であなたが真っ白になっても、ただ「怪しい」と思われるだけなので、くれぐれもご注意のほど。
雪深い南会津を流れる伊南川はこの時期、ペッピンさんになる。石に積もった雪はやさしいカーブをいくつも描き、本来冷たいはずの雪を暖かくさえ感じさせてくれる。こういう風景を日常的に見ている人間は、きっとやさしさ、あたたかさ、思いやり、謙虚さ…が心の中にしっかり宿っているのではないだろうか。
内面的な美しさは、そう容易く手に入れることはできない。表面的な美しさにばかり目を奪われていると、大切な何かを見落としてしまう。美しく着飾ることも大切なのだろうが、もっともっと自然と接し、自然の美しさを感じなければと、まだまだ未熟な私は雪原で真っ白になりながら、考えたのであった。
生出道憲 oide michinori
1961年12月28日宮城県生まれ。福島県会津地方及び中通りなどを中心に活動をするちょっと謎めいた自然・風景写真記録人。
裏磐梯 -風をとらえたもの-
定価 2,000円(税込)
写真提供:生出道憲氏
お問合せ:第一印刷 024-536-3232
2,000冊限定
12/1発売開始




























